こんな疑問にお答えします!
- 敷金はいくら戻ってくるのか
- 退去費用はいくらかかるのか
- 退去費用を減らす方法
目次
敷金はいくら戻ってくるの?

基本的に戻ってくる敷金ですが、実際にどのくらい戻ってくるのでしょうか?
結論から言うとケースバイケースでむしろ追加で支払う場合もあります。
実際にどのくらい払ってる/戻ってくるのかデータを見てみましょう。
こちらのデータはリクルート住まいカンパニー「引越しに関する実態調査」より、退去時に支払った費用の平均額です。
間取り | 支払い金額 |
ワンルーム | 6万9000円 |
1K | 7万7000円 |
1DK | 9万1000円 |
1LDK | 12万6000円 |
2K | 9万2000円 |
2DK | 11万7000円 |
2LDK | 14万8000円 |
3LDK | 16万9000円 |
参考:リクルート住まいカンパニー「引越しに関する実態把握調査」
ちなみにこちらのデータは敷金を預けていない人のデータも含まれています。
また預けていた敷金から賄われて、返金を受けた人もデータを含んでいません。
続いて返金された人のデータも紹介します。
間取り | 返金金額 |
ワンルーム | 2万9000円 |
1K | 3万7000円 |
1DK | 4万1000円 |
1LDK | 6万6700円 |
2K | 3万4000円 |
2DK | 4万9000円 |
2LDK | 6万6000円 |
3LDK | 8万1000円 |
参考:リクルート住まいカンパニー「引越しに関する実態把握調査」
敷金の返金金額の計算式

敷金返還額=「最初に預けた敷金」-「退去費用」
退去費用=「入居者の故意による過失の補修費用」+「ハウスクリーニング費用」
入居者の故意による過失の補習費用は文字通り自分が壊してしまった備品などを補填するための費用です。
自然劣化などの補償は必要ありません。(大家負担)
ハウスクリーニングは退去後に専門業者が行う清掃作業のこと。
実は基本的に大家負担なのですが、契約時に入居者が負担する内容になっている場合が多いです。
認めないと入居できない場合が大半なのでなかなか難しいところです。
大体平米単価で1,000円程度です。
退去で業者が儲ける仕組みを知ろう

退去において問題となるのは管理会社と立会い代行業者が関わっている場合です。
全て大家さんが直接している場合はそんなに問題ありません。
流れとしては
大家さん→管理依頼→管理会社→立会い業務を委託→立会い代行業者
という流れです。
この管理会社と立会い代行業者の中抜きに注意する必要があります。
中抜きの例をあげてみます。
- 実際の修理費以上の金額を請求する
- 退去者が負担する必要のない項目を請求する
- 相場より高い金額でリフォームを発注して、キックバックをもらう(リフォーム業者もグル)
- 修繕項目のでっち上げ(壁紙が日焼けしているように見せかけるなど)
退去費用の入居者負担の範囲を知ろう!
自然に壊れたり劣化したものは負担しなくて良い(大家負担)

退去費用は退去時に壊れている備品などの修繕に当てられるお金ですが、自然に壊れたり劣化したものは入居者が負担する必要はありません。(大家負担です。)
これらの費用は家賃に含まれていると考えられています。
自然劣化や故障の例は以下のような場合です。
- 日照りによる畳の変色
- 家具の設置による床のへこみ
- 壁の画鋲の穴
- テレビ・冷蔵庫のの壁の黒ずみ
- フローリングのワックスがけや色落ち
- 網戸の張り替え
- クロスの自然な汚れ
入居者負担は入居者の不注意や故意による過失がある場合のみ

入居者が壊したり汚してしまった設備の修繕は当然入居者の負担になります。
例えばタバコのヤニや焦げ跡によるクリーニング代やクロスの張り替えなどです。
- 部屋を100%初めの状態に戻す必要はない(*原状回復)
- 新品に交換する必要はない(現在の価値を支払う)
*原状回復とは、国土交通省のガイドラインでは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
>>参考:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
現在価値とは?
使っている設備は長く使えば使うほど価値が低下していきます。
なので例えばボロボロになって価値がなくった設備を壊したからといって、新品を弁償する必要はないのです。
現在価値を測るために、耐用年数という考え方があります。
耐用年数とはその物の価値がゼロになる年数です。
なので例えば耐用年数が6年間の物を6年以上使っていれば、現在価値はゼロ円なのです。

この耐用年数から計算して入居者が支払うべき金額が決まります。
上記のグラフの青の部分のみ負担するイメージです。
耐用年数の例は以下のような感じです。
- クロス:6年
- 畳・カーペット・クッションフロア:6年
- エアコン:6年
- インターフォン6年
- 例①:入居3年で退去。クロスの一面を傷つけた。
- 例②:入居6年で退去。クロスの一面を傷つけた。
- クロスの新品張り替えには2万円かかるとする。
この条件の場合を検証してみましょう。
- 例①→耐用年数の半分なので新品費用の半分を負担→1万円の入居者負担になる。
- 例②→耐用年数を過ぎているため現在の価値はゼロ→入居者負担はなし
理論的には上記のようになります。
ただし入居者に過失があって汚れたりしている場合、入居者の負担が増す場合もあるので注意しましょう。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

先ほどもちらっと出てきた国土交通省のガイドラインについてですが、こちらのガイドラインを読むことで自分が何を払うべきなのか、ぼったくられていないか、などの基準が分かるようになります。
>>参考:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
残念ながら法的拘束力はなく契約書の特約が優先されがちなのですが、とはいえ知っておくだけでいざという時の抑止力になります。
引越しの際、敷金が戻ってこないどころか壁紙の張り替えや鍵の交換などだけで17万円も請求された。
→国交省の賃貸住宅原状回復ガイドラインにしたがって欲しいと不動産屋に伝えたら、追加費用は不要、敷金は全額返金するといってきたらしい・・・。
>>(外部サイト:ROCKET NEWS 24)引っ越しの退去費用で17万の請求が……「ある言葉」を伝えたら追加費用もなくなり敷金も全額戻って来た話が話題 → 元不動産屋に話を聞いてみた
特約が無効になる場合もある
先ほど特約はガイドラインよりも法的に優先されると言いましたが、とはいえ当然無効になる場合もあります。
基本的に次の人が住むための費用は認められません。
例えば次の様なものです。
- 退去時の鍵交換代
- ハウスクリーニング
- エアコン清掃代
この様なものは大家が負担すべきものです。
特約が認められる条件というのは明確に決まっていて、以下の条件が揃っていなければ無効にできる可能性があります。
このように裁判の判例もあるので、こうした事を根拠に退去費用の交渉をすることもできます。
明らかに不当な請求はいくら特約に書いてあってからといって、まかり通るわけではありません。
不当な請求の例をいくつか挙げてみます。
- 通常使用範囲内の損耗(自然劣化)
- キッチン・鍵・エアコンなどの設備の交換
- クロスの全面張り替え費用
などです。
特約がある場合でも泣き寝入りせずに、ガイドラインや裁判所の判例などを交渉カードに使ってみましょう。
戻ってくる敷金を増やすために気をつけるポイント

契約時・入居時のポイント

- 入居したらすぐに設備の故障や不具合をチェックする
- 入居時に写真を撮っておく
- 特約条項を確認する
- 原状回復の負担区分(どこまで入居者負担か)を確認する
入居時の状況を明確にしておく
入居時の設備の状態をチェックしたり、入居時に写真を撮っておくことで入居時の状況を明確にできます。
入居時の状況を明確にしておけば、相手も無理な請求をしにくくなります。
設備のチェックは入居チェック表を管理会社からもらえるはずなので、貰ってない場合は問い合わせてみましょう。
特約条項を確認して、ガイドラインに沿っているかをチェックする
特約条項を確認するときはガイドラインに沿っているかを確認しましょう。
ガイドラインに沿っていない場合は交渉の余地があります。
特に注意して欲しい特約は以下の2つです。
- 原状回復特約
- 敷引き特約
原状回復特約とは、通常の原状回復を超えた原状回復費用を入居者に負担させるという内容です。
原状回復特約はその必要性があり、借主・貸主が互いに同意している場合のみ有効です。
原状回復の負担がどこまで入居者負担になっているかを確認するように心がけましょう。
>>参考:原状回復特約とは?(LIFUL HOME’Sホームページ)
敷引き特約とは、敷金の中から一定の原状回復費用を差し引くという内容です。
こちらの問題点としては実際にどのくらいの入居者負担が生じているかに関わらず、退去時に原状回復費用が引かれてしまうという点です。
例えば契約時に家賃1ヶ月分を原状回復費用を引きます、と決めてしまえば実際の入居者負担がそれ以下でも問答無用で引かれてしまうことになります。
敷引き特約は色々問題となっている特約なのでしっかり確認しましょう。
>>参考:敷引き特約とは(外部サイト)
ただしこういった特約も相手が絶対条件としている場合は難しいでしょう。
相手も誰を入居させるか選ぶ権利があるので、同意しないと入居できない場合もあります。
その場合は妥協するか、違う物件を探すかになるかと思います。
入居中のポイント

- 日頃から設備を壊さないようにする
- 壊れた設備はその都度修理する(管理会社や大家さんに連絡)
- 契約書で禁じられている事は必ず守る
そもそも設備が壊れてたり汚れたりしなければ入居者負担で請求されることもない訳なので、日頃から気をつけましょう。
すでに解説した通り自然に劣化したり壊れたりする分は大丈夫です。その都度大家負担で修理してもらいましょう。
また入居者過失の場合でも火災保険から補償が出る場合があります。
意外と知られていないので見落としがちです。しかも火災保険を使っても保険料が上がらないので絶対に活用すべきです。
また修理する場合は自然劣化の場合・入居者過失の場合どちらとも管理会社や大家さんに連絡した上で行うことをお勧めします。
またペットNG・タバコNGなど契約書で禁止されている事を破ると原状回復以上の請求になることもあるので気をつけましょう。
- 玄関の鍵
・無くさないようにする。
・入居者負担になる場合もある。 - タバコは吸わない
・室内にタバコの匂い・ヤニ汚れが付くと、入居者負担で壁紙補修となる場合もある。 - エアコン・水回り
・日頃からメンテナンスをする。
・自然劣化や自然故障はOK。ただし清掃不足でカビの除去が必要な場合などは入居者負担になる場合もある。 - 壁紙・クロス
・冷蔵庫のサビは放置しない。
・床のサビ跡は入居者負担になる。
・冷蔵庫の裏側の焼けは基本OKだが、置き方に問題があった場合は入居者負担になる場合も。
・画鋲で開けた壁の穴はOK(下地に到達しない場合)。一応契約書を確認しましょう。
・釘やビスはNG。落書きもNG。 - 床・フローリング・クッションフロア
・大きな傷やへこみはNG。
・大きな家具を設置するときは注意。事前に状態をチェックして、すでに汚れや傷がある場合は写真を撮り(証拠を残す)、事前に管理会社や引越し業者などに連絡する。 - ふすま・障子・畳
・汚した場合は入居者負担。汚した枚数分のみ。全て請求するのは違反。
退去時のポイント

- 解約通知(退去届)は退去の何ヶ月前までかを確認する
- 解約通知書(退去届)を送る時点で牽制する
- 壁や床など自分で修復できる部分は修復する
- 水まわりやキッチンを綺麗にしておく
- 退去前に写真を撮っておく
- 部屋に最初からあって備品に気をつける
- 立会いは義務ではない
- 見積もりをしっかり確認する
- 電話で交渉してみる
- 知識で身を守ろう!
解約通知(退去届)は退去の何ヶ月前までかを確認する
ごく基本的なことですが、退去の何ヶ月前までに解約通知が必要は事前に確認しておきましょう。
何ヶ月前までかは賃貸契約書に書かれています。書類が見つからない場合は管理会社や大家さんに問い合わせましょう。
解約通知書(退去届)を送る時点で牽制する
解約通知書(退去届)を送る時点ですでに戦争は始まっています。
この時点でしっかり牽制しておくことで相手から舐められないようにできるかもしれません。
解約通知書は以下のポイントに気をつけてみましょう。
- 不利な点が書いてないかチェック→不利な点は取り消し線をひいて押印(もしくは自分で書式をつくってもOK)
- 証拠を残すため、やり取りはメールで行う旨を記載する
- 入居時からあった備品のダメージなどを指摘する
- 退去立会いはしない旨を伝える(立会いは義務ではない)
- 退去費用の請求はガイドラインに沿ってお願いしますと記載する
- 理不尽な特約はこの時点で無効を主張する
- 退去費用は専門家に確認してから返事をすると記載
- 解約通知書は配達記録が残る方法で送る(届いてないと嘘をつかれないため)
事前にこういった牽制をしておくことで、相手も無理な請求をしづらくなります。
「こっちは準備万端だぞ!」というところを見せつけることで今後のやり取りもやりやすくなるはずです。
壁や床など自分で修復できる部分は修復する
壁や床などの汚れや傷みなど、自分で修復できる部分は修復しておきましょう。
もちろん自然劣化の場合は入居者負担にならないのですが、そもそも相手が付け入る隙をできるだけ減らすためにもできる範囲の修復をやってみましょう。
水まわりやキッチンを綺麗にしておく
こちらも上記と同じく、予防的な意味で綺麗にしておきましょう。
万が一清掃代を請求されかねません。そこから交渉してもいいですが、そもそも交渉する必要がない方向に持って行くほうがいいでしょう。
退去前に写真を撮っておく
退去前の状態の証拠を残すために、退去前に必ず写真を撮っておきましょう。
立会いがある場合は立会い前に撮っておくのがポイントです。
全体の写真だけでなく、各所のアップ写真も撮っておきましょう。
悪質な業者の場合、夕日の時間帯に壁紙が焼けて見えるような写真を撮ったり、最悪立会い時に故意に傷を付けるなんていう事例もあります。
無いものを請求されてしまったも、リフォームが完了した後だと証拠がなくなってしまいます。
必ず写真を撮って証拠を残しましょう。
部屋に最初からあって備品に気をつける
耐用年数について解説した通り、備品を使用している年数に応じて入居者負担は変わります。
しかしそもそも最初にあった備品が新品だったかという問題があります。
仮に入居者過失で壊した備品だったとしても、例えば入居時点ですでに数年使われていた備品であれば新品価格で補填する必要はありません。
平気で新品定価で請求してくる業者もいるので、初めから部屋にあった備品には気をつけましょう。
立会いは義務ではない
退去時の立会いは義務ではありません。
立会い時にトラブルが起きることもあるので、できれば立会いはしないほうがいいでしょう。
退去するには以下の2つがあればOKなのです。
- 鍵の受け渡し(郵送も可)
- 解約予告通知
どうしても立会いする場合は、立会いを録画したり味方の第三者に立ち会ってもらうなど対策をしましょう。
また立会い時に書類に無理にサインする必要はありません。
鍵の受け渡しと解約予告通知さえ出来ていれば、そもそもサインをしなくても退去できます。
立会いをする時「サインしないと今後も家賃が発生し続けますよ。」とか言われるかもしれません。これは嘘なので完全に無視してOKです。
仮にサインしてしまっても、お金を払っていなければまだ交渉は可能です。
サインしないことに加えて、しっかり納得するまでお金は一円も払わないことが重要です。
見積もり・請求をしっかり確認する
見積もりが来たら以下のようなポイントを確認しましょう。
- 請求内容は明確に記載されているか
- 現在価値での請求になっているか
- 自然劣化した分まで請求されていないか
- 新品の証明はあるか
- 入居者と貸主の負担割合は記載されているか
国土交通省のガイドラインに沿っているかをしっかり確認することが大切です。
不当な請求がある場合は直ちに抗議・交渉するようにしましょう。
電話で交渉してみる
文書でのやり取りもいいですが、スピードを求めるならやはり電話での交渉がいいでしょう。
交渉する際は自分が納得いかない点を堂々と理論的に説明するようにしましょう。
- ・・・は相場より高い
- ・・・は入居者負担ではない
などきちんと根拠を持って主張しましょう。
「〜はどうでしょうか?」のような態度ではなく、堂々と断定的に主張して下さい。
また、「国土交通省のガイドライン」というのが結構なパワーワードになったりします。笑
冒頭で紹介した事例でもガイドラインを確認するように伝えただけで請求内容がガラッと変わったような事例もあるくらいです。
おかしいものはおかしいとしっかり主張しましょう。
知識で身を守ろう!
最終的にあなたの身を守るのは知識です。
何も知らずに書類にサインしていてはぼったくられるのを待つのみ。
- 入居者は何を負担するのか・しないのか?
- 相場はどのくらいなのか?
事前に知識を身につけておくだけでもだいぶ違います。
最終的に入居者とトラブルになって困るのは大家さんです。
訴訟するとなると大家さんも多額の費用や時間がかかるので出来るだけ穏便に済ませたいはず。
なので納得がいかなければとことん主張しましょう。
退去で困ったときは相談しよう

よくある質問1:退去費用が払えない場合どうすれば良い?
よくある質問2:返ってくるべき敷金が返ってこない場合はどうしたら良い?
敷金が返ってこない場合は敷金返還代行業者に相談してみましょう。
敷金バスターというサービスでは、建物の使用状況や修繕費用を正しく見積もり、適正な原状回復費用を算出してくれます。また、相談は無料で行ってくれます。
次のようなステップで対処してみましょう。
- 無料相談で適正な見積もりを算出する
- 実際の請求と第三者の見積もりを比較して、交渉する
- 管理会社ではなく家主に直接交渉してみる
ガイドラインに沿った第三者の見積もりは強力な交渉材料になります。
自分で見積もりができなくても、無料で相談できるのでぜひ活用してみましょう。
まとめ

- 管理会社や立会い代行会社などはぼったくってくるという現実を知ろう
- 無知では搾取されてしまう。知識をつけて身を守ろう
- 基本的に敷金は戻ってくる
- 入居者の負担は自分に過失がある損耗分のみ(自然劣化は大家負担)
- 日頃からのお部屋・備品のメンテナンスも大事
- 備品の損傷は入居中に出来るだけ修復しよう(火災保険も忘れずに)
- 退去時の写真や業者とのやり取りなど、証拠に残せるものは残しておこう
- 退去時の立会いは義務ではない
- 「国土交通省のガイドラインにしたがって下さい。」はパワーワード
- 理論的に堂々と交渉しよう
- 困ったら迷わずに相談しよう

